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名古屋地方裁判所 平成元年(ワ)2988号 判決 1992年1月24日

愛知県愛知郡東郷町大字春木字音貝四三番地の一四一

甲・乙・丙事件原告(以下「原告」という。)

伊吹物産株式会社

右代表者代表取締役

平谷茂幸

右訴訟代理人弁護士

植村元雄

右輔佐人弁理士

後藤憲秋

滋賀県坂田郡伊吹町大字杉沢三一四番地の二

甲事件被告(以下「被告」という。)

大沢興業株式会社

右代表者代表取締役

大沢一雄

同郡伊吹町大字村木九一一番地

甲・丙事件被告(以下「被告」という。)

びわこ産業株式会社

右代表者代表取締役

大沢一雄

同郡山東町大字大鹿一二一四番地

乙事件被告(以下「被告」という。)

醒井工業株式会社

右代表者代表取締役

四津谷仁朔

右三名訴訟代理人弁護士

細川喜子雄

右訴訟復代理人弁護士

竹原大輔

右輔佐人弁理士

影井俊次

名古屋市中区錦三丁目三番八号

丙事件被告(以下「被告」という。)

愛知県経済農業協同組合連合会

右代表者理事

伴武量

右訴訟代理人弁護士

中野弘文

主文

原告の請求をいずれも棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

第一  請求の趣旨

一  被告大沢興業株式会社及び同びわこ産業株式会社は、原告に対し、各自金二〇〇〇万円及びこれに対する平成三年四月二一日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え(内金請求)。

二  被告醒井工業株式会社及び同びわこ産業は、原告に対し、各自金二〇〇〇万円及びこれに対する平成三年四月二一日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え(内金請求)。

三  被告愛知県経済農業協同組合連合会(以下「被告連合会」という。)は、原告に対し、金三〇〇万円及びこれに対する平成二年一〇月一二日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。

四  訴訟費用は被告らの負担とする。

五  仮執行の宣言。

第二  事案の概要

本件は、原告が被告らに対し、特許権の侵害を理由に損害賠償を求めた事案である。

一  争いのない事実

1  当事者

原告は育苗用土の製造販売等を業とする会社であり、被告大沢興業は土木建築工事、育苗用土の製造等を、同びわこ産業は育苗用土の製造販売等を、同醒井工業は石灰原石の採掘販売及び仕入販売、耕土培養材及び育苗用土の製造販売等をそれぞれ業とする会社であり、同連合会は会員の事業又は会員の組合員の事業若しくは生活に必要な物資の供給等を事業とする特殊法人である。

2  原告の特許権

原告は次の特許権(以下「本件特許権」といい、その特許発明を「本件発明」という。)を有している。

発明の名称 水稲育苗用肥鉄土の製造方法

出願日 昭和四七年一二月二九日

出願公告日 昭和五一年四月二〇日

登録日 昭和五一年一二月二五日

登録番号 第八三八九七五号

3  本件特許請求の範囲

本件発明の特許出願の願書に添付した明細書(以下「本件明細書」という。)の特許請求の範囲の記載は、本判決添付の特許公報(甲一。以下「本件公報」という。)の該当欄記載のとおりである。

4  本件発明の作用効果

本件発明は、従来水稲苗の育生に用いられていた土壌の欠点を解消したものであり、乾燥粉砕処理した肥鉄土を原料とし、その粒度二ないし六ミリメートルの範囲の粗砕粒と二ミリメートル以下微粉粒とから構成し、かつ、該粗砕粒を全体の三〇ないし八〇パーセント含むように配合したものは、これを水稲育苗用の土壌として使用した場合には、従来の水稲育苗用の肥鉄土あるいは非肥鉄土に比して、水稲苗の育生に著しく優れた効果をもたらすと共に、機械植による根いたみを生じず活着が良い等の優れた効果をもたらすものである。

5  被告らの行為

(一)(1) 被告大沢興業は、平成元年九月二五日から平成二年四月末頃までの間に、別紙イ号製法目録記載の方法(ただし、被告らの認否は別紙「イ号製法の認否」に記載したとおりであり、細部については若干争いがある。以下「イ号製法」という。)により肥鉄土を製造し(以下、イ号製法により製造された肥鉄土を「イ号製品」という。)、これを被告びわこ産業に納入した。

被告びわこ産業は、右期間内に、イ号製品を滋賀県経済農業協同組合連合会(以下「滋賀県経済連」という。)等に販売した。

(2) 被告大沢興業は、平成二年八月頃から平成三年四月二〇日頃までの間に、イ号製法により肥鉄土を製造し、これを被告びわこ産業に納入した。

被告びわこ産業は、右期間内に、イ号製品を被告連合会及び滋賀県経済連等に販売し、被告連合会はこれを販売した。

(二)(1) 被告醒井工業は、平成二年一月一日から同年四月末頃までの間に、別紙ロ号製法目録記載の方法(ただし、被告らの認否は別紙「ロ号製法の認否」に記載したとおりであり、細部については若干争いがある。以下「ロ号製法」という。)により肥鉄土を製造し(以下、ロ号製法により製造された肥鉄土を「ロ号製品」という。)、これを被告びわこ産業に納入した。

被告びわこ産業は、右期間内に、ロ号製品を滋賀県経済連等に販売した。

(2) 被告醒井工業は、同年八月頃から平成三年四月二〇日頃までの間に、ロ号製法により肥鉄土を製造し、これを被告びわこ産業に納入した。

被告びわこ産業は、右期間内に、ロ号製品を被告連合会及び滋賀県経済連等に販売し、被告連合会はこれを販売した。

二  争点に関する当事者の主張

1  イ号製法及びロ号製法(以下、両者を併せて「両製法」ともいう。)は本件特許権を侵害するか(争点1)。

(一) 原告

(1) 本件発明の構成要件

物を生産する方法の発明は、出発物質(何を原料としているか。)、目的物質(何を生産するか。)及び方法を構成する工程(原料からどのようなステップを経て生産するか。)の三つの要件により特定されるので、本件発明は、次の構成要件からなるものというべきである。

<1> 出発物質

本件発明の特許請求の範囲の記載の文脈上、本件発明の出発物質は加工処理された「肥鉄土」であると解するのが日本語の用法として自然であるのみならず、従来、肥鉄土の風化した土壌が土壌改良に使用されていたという背景があり(本件公報1欄二四~二八行)、肥鉄土の風化土を焙焼し粉砕機にかけて微粉土に製造した育苗用土が公知であったこと(同1欄二九~三一行)、本件明細書の「発明の詳細な説明」にも「乾燥粉砕処理した肥鉄土を原料とし」と明確に記載していること(同5欄五~六行)、及び本件発明は、肥鉄土そのものを得る発明ではなく、肥鉄土の粒子を大小取り混ぜて育苗用土を得る方法に係るものであることを総合すると、本件発明の出発物質については、次のように解すべきである。

「安山岩、蛇紋岩等の鉄分の多い岩石の砕石及び風化土を乾燥粉砕して得られる酸化鉄を約一〇パーセント以上とけい酸を主成分とする肥鉄土」

<2> 目的物質

本件発明の目的物質は、水稲育苗用の肥鉄土であって、大小の粒子が一定比率で配合されたものであるから、次のようになることは明らかである。

「その粒径二ないし六ミリメートルの範囲の粗砕粒と二ミリメートル以下の微粉粒とを該粗砕粒が全体の約三〇ないし八〇パーセント含むように配合してなる水稲育苗用肥鉄土」

<3> 方法を構成する工程

出発物質を目的物質に至らしめる手段がここでいう工程であるところ、肥鉄土自体は、天然乾燥(風化物)あるいは人工加工(焙焼、粉砕あるいは造粒)したものが公知であったという状況を勘案すれば、本件発明の主要工程は、次のとおりとなる。

「前記肥鉄土を篩通しする」

(2) 本件発明と両製法との対比

<1> 出発物質について

両製法における出発物質である肥鉄土を得る過程は次のとおりであり、「安山岩、蛇紋岩等の鉄分の多い岩石の砕石及び風化土」を原料とし、これを乾燥工程(イ号製法においては、dがこれに当たる。)及び粉砕工程を含む造粒工程で造粒加工し、「酸化鉄を約一〇パーセント以上とけい酸を主成分とする肥鉄土」を得るものであるから、両製法における出発物質は、本件発明の出発物質の要件を全て満たしている。

なお、もし本件発明が肥鉄土そのものを得る方法に係るものであれば、肥鉄土を得る「造粒工程」は、発明の技術的範囲を解釈する際に重要なものとなろうが、本件発明は、肥鉄土の粒子が一定の粒度分布の範囲内のものであれば所期の目的が達成され、その効果が生じるのであるから、肥鉄土がどのような製法によって得られるかということは問題にならない。

(イ号製法)

a 安山岩、蛇紋岩等の鉄分を多く含む石及びその風化土からなり、酸化鉄を約一〇パーセント以上とけい酸を主成分とする土石を(原料)、

b 五〇ミリメートル目振動篩にかけて五〇ミリメートル以下の土石の篩分けを行い、篩を通過したものはそのまま、篩残した土石は破砕機によって更に破砕して五〇ミリメートル以下の土石とし(五〇ミリメートル篩分け工程)、

c 前記土石を造粒機に送り込み、該造粒機では五〇ミリメートル以下の土石に水を打ちながら回転して円い粒状物となし、次にこの粒状物を第一回転窯で摂氏約八〇〇度で焼きながら回転して粒状物に固形化し(造粒工程)、

d 前記粒状物を第二回転窯へ送り込み摂氏三〇〇ないし四〇〇度で焼きながら回転して含水量を一二ないし一四パーセントに調整して(乾燥工程)

e 得られた肥鉄土。

(ロ号製法)

a 安山岩、蛇紋岩等の鉄分を多く含む石及びその風化土からなり、酸化鉄を約一〇パーセント以上とけい酸を主成分とする土石を(原料)、

b 大きな礫や岩石等は取り除きあるいは破砕して概ね約九〇ミリメートル以下の土石として(九〇ミリメートル破砕工程)、

c 内部壁面に断続する螺旋状の羽根がつけられた造粒機Ⅰに送り込み、前記土石に水分を付与して回転させながら高温で加熱して粒状物を生成し(第一造粒工程)、

d 前記粒状物を目の粗い(一〇ないし一三センチメートル)バースクリーンにて粗篩し、篩を通過したものはそのまま、篩残されたものはインペラにかけて破砕し(粗篩工程)、

e 前記粗篩した粒状物を内部壁面に螺旋状に連結する羽根がつけられた造粒機Ⅱで更に回転させながら高温で加熱し(第二造粒工程)、

f その後、急冷却キルンへ送り込み送風によって冷却乾燥して(乾燥冷却工程)

g 得られた肥鉄土。

<2> 目的物質について

次のとおり、両製法は、その目的物質における肥鉄土の粗砕粒と微粉粒との配合比率が本件発明の目的物質の配合比率の範囲内にあることは明らかであるから、本件発明の目的物質の要件を充足する。なお、両製法における「製品の篩分け工程」及び「製品の粒度分布」は、本件発明の粗砕粒と微粉粒との「配合」に該当する。

(イ号製法)

製品全体のうち粒径二ミリメートル以上の粗砕粒が三七・五ないし五一・九パーセント及び粒径二ミリメートル以下の微粉粒が約四八・一ないし六二・四パーセントの比率で含まれてなる水稲育苗用培養土(製品の粒度分布)。

(ロ号製法)

製品全体のうち粒径二ミリメートル以上の粗砕粒が六三・五パーセント、粒径二ミリメートル以下の微粉粒が三六・五パーセントの比率で含まれてなる水稲育苗用培養土(製品の粒度分布)。

<3> 方法を構成する工程について

次のとおり、両製法が、出発物質を目的物質に至らしめる工程として、本件発明における「肥鉄土を篩通する」工程を含むことは明らかである。

(イ号製法)

前記造粒物を三ミリメートルの製品篩機にて篩い、篩を通過したものはそのまま製品となし、篩残した土石は粉砕機によって粉砕して前記造粒機に戻して循環させる(製品の篩分け工程)。

(ロ号製法)

前記乾燥した造粒物を三ミリメートル目の製品篩機にて篩い、篩を通過したものはそのまま製品となし、篩残したものは前記インペラに戻して循環させる(製品の篩分け工程)。

(二) 被告ら

(1) 本件発明の構成要件について

物を生産する方法の発明は、出発物質、目的物質及び方法を構成する工程の三つの要件により特定されることは認める。

<1> 出発物質

物を生産する方法の発明にあっては、特許請求の範囲に記載された経時的な要素を持った処理又は操作は全て工程と解されるのであるから、本件発明の出発物質は、「安山岩、蛇紋岩等の鉄分の多い岩石の砕石及び風化土」であり、これを「乾燥粉砕」することは、方法を構成する工程である。

<2> 目的物質

原告が目的物質として挙げる要件のうち「その粒径二ないし六ミリメートルの範囲の粗砕粒と二ミリメートル以下の微粉粒とを該粗砕粒が全体の三〇ないし八〇パーセント含むように配合」することは工程であって、目的物質ではない。

なお、本件明細書においては、造粒された肥鉄土を従来技術として取り上げ、比較例として掲げておりながら(本件公報4欄一一行)、本件発明により製造される「肥鉄土」として「造粒物」を含む旨の積極的な記載をしていないのであるから、「造粒物」については、本件発明の技術的範囲から意識的に除外したものと解するのが自然であり、合理的である。

<3> 方法を構成する工程

本件明細書の特許請求の範囲の記載からは、本件発明は、次の三つの工程からなると解すべきである。

a 岩石の砕石及び風化土を乾燥粉砕して肥鉄土を得る工程

b 粒径が二ないし六ミリメートルの範囲の粗砕粒と二ミリメートル以下の微粉粒とを得るために、肥鉄土を篩通しする工程

c 粗砕粒が全体の約三〇ないし八〇パーセントとなるように配合する工程

(2) 本件発明と両製法との対比について

両製法は、原料を回転造粒機に入れて水を添加することによってこれを丸い団子状に造粒するとともに、この造粒物に熱を加えて焼結することにより固形化させてなるものであり、素材に水分を加える点において、素材から水分を除去して素材を構成する粒子相互間の結着力を失わせる乾燥とは異なり、また、細かい土砂を凝集させる点において、塊状物を粉々に砕く粉砕とも異なるものであって、造粒工程は、乾燥工程にも粉砕工程にも含まれない独特の工程である。また、両製法により製造された物には、粗く砕いた粒である粗砕粒や微小な粉状にした粒である微粉粒は、そのままの状態では含まれておらず、両製法は、目的物質においても本件発明のそれとは異なるものである。したがって、造粒工程を主工程としている両製法は、本件発明とは別異の製法であって、本件発明の技術的範囲には属しない。

2  被告らに不法行為責任があるか(争点2)。

(一) 原告

(1) 被告大沢興業及び同びわこ産業は、本件特許権の存在を知って、又は過失によりこれを知らずに、前記一5(一)の行為をしたものであるから、共同不法行為責任がある。

(2) 被告醒井工業及び同びわこ産業は、本件特許権の存在を知って、又は過失によりこれを知らずに、前記一5(二)の行為をしたものであるから、共同不法行為責任がある。

(3) 被告連合会は、本件特許権の存在を知って、又は過失によりこれを知らないで、前記一5(一)(2)及び(二)(2)の行為をしたものであるから、不法行為責任がある。

(二) 被告ら

原告主張の事実を否認する。

3  原告の被った損害額は幾らか(争点3)。

(一) 原告

(1) 被告大沢興業が製造し、同びわこ産業が販売したイ号製品の量は、平成元年九月二五日から平成二年四月末頃までの間が少なくとも一万五〇〇〇トンであり、同年八月頃から平成三年四月二〇日頃までの間が少なくとも二万五〇〇〇トンであるところ、イ号製品の一トン当たりの平均販売価格(被告びわこ産業からの卸売価格)は一万円であり、その製造販売に要する諸経費は六〇〇〇円を超えないから、右被告両名が得た利益の合計は一億六〇〇〇万円を下らない。

(2) 被告醒井工業が製造し、同びわこ産業が販売したロ号製品の量は、平成二年一月一日から同年四月末頃までの間が少なくとも一万トンであり、同年八月頃から平成三年四月二〇日頃までの間が少なくとも二万トンであるところ、ロ号製品の一トン当たりの平均販売価格(被告びわこ産業からの卸売価格)は一万円であり、その製造販売に要する諸経費は六〇〇〇円を超えないから、右被告両名が得た利益の合計は一億二〇〇〇万円を下らない。

(3) 被告連合会が平成二年八月頃から平成三年四月二〇日頃までの間にイ号製品及びロ号製品を他に販売したことにより原告が被った損害は、三〇〇万円を下らない。

(二) 被告ら

原告主張の事実を否認する。

第三  争点1(特許権侵害の有無)についての判断

一  本件発明の技術的範囲

本件発明は、製造方法の発明であるから、「出発物質(原料)」「方法を構成する工程」「目的物質」に分けて考察することが必要である。

1  出発物質(原料)について

前記第二、一の事実によれば、本件発明の出発物質は、その構成要件の当初に記載されている物質、すなわち、「安山岩、蛇紋岩等の鉄分の多い岩石の砕石及び風化土」であると解するのが相当である。

原告は、本件発明の出発物質は乾燥粉砕という加工処理をされた「肥鉄土」であると解すべき旨主張するが、本件発明の「乾燥粉砕して」との要件は、目的物質を得るための製造工程を構成するものであることが明らかであるから、右の主張は採用することができない。

2  方法を構成する工程について

(一) 前記第二、一の事実によれば、本件発明は次の三工程を含むものと解すべきである。

(1) 安山岩、蛇紋岩等の鉄分の多い岩石及び風化土を乾燥粉砕する工程(以下「乾燥粉砕工程」という。)

(2) 酸化鉄を約一〇パーセント以上とけい酸を主成分とする肥鉄土を篩通しする工程(以下「篩通し工程」という。)

(3) 粒径二ないし六ミリメートルの範囲の粗砕粒と二ミリメートル以下の微粉粒とを該粗砕粒が全体の約三〇ないし八〇パーセント含むように配合する工程(以下「配合工程」という。)

(二) 乾燥粉砕工程

「乾燥」とは、一般に湿気や水分のかわきつきることをいう(広辞苑)ところ、本件明細書には、「乾燥は焙焼を通常とするが自然乾燥でもよい。」(本件公報3欄七~八行)と記載されており、また、他にこれを限定的な意味に解釈すべき理由はないので、砕石及び風化土が含有するか、又はそれらに付着する水分を少なくとも一部除去する操作であると解することができる。

一方、「粉砕」とは、粉みじんに細かくくだくことをいい(広辞苑)、本件発明においては、砕石をより細かくする操作がこれに当たる。

そして、乾燥粉砕工程は、乾燥と粉砕とを同時に行うか、又はそのいずれかを先に行うかは任意であると解されるから、「粉砕後に乾燥させる場合」であっても、「乾燥後に何らかの処理工程を経た後に粉砕する場合」であっても、原則としてこれに含まれると解すべきである。

(三) 篩通し工程

「篩」とは、粉又は粒状のものをその大きさによって選り分ける道具である(広辞苑)から、本件発明にいう「篩通し」とは、肥鉄土から粒径二ないし六ミリメートルの範囲の粗砕粒及び二ミリメートル以下の微粉粒とを選別することを目的とする操作である。しかし、本件明細書に「粗砕粒と微粉粒との所定量の配合及び粗砕粒の粒度構成は粒径二mm以下と二mm以上~六mm以下の範囲内を数段階に篩別したものを用意し適宜配合するようにしてもよい。」(本件公報4欄一~四行)旨記載されていることからも明らかなように、「篩通し」は、前記の粗砕粒及び微粉粒を必ずしも直接選別するものばかりでなく、数段階に篩分けして選別することをも含むものと解される。

(四) 配合工程

「配合」とは、組み合わせ又は適宜混合することをいい、本件発明における「配合」は、前記の篩通しによって選別された粒径二ないし六ミリメートルの範囲の粗砕粒と粒径二ミリメートル以下の微粉粒とを該粗砕粒が全体の約三〇ないし八〇パーセント含むように混合する操作のことである。

(五) 工程の組合せ

本件発明のうち「篩通し工程」及び「配合工程」は、それぞれその前の工程の生成物を処理するものであるから、本件発明は、「乾燥粉砕工程」「篩通し工程」「配合工程」を経時的順序に従って実施することを構成要件とするものであると解される。

3  目的物質について

前記第二、一の事実によれば、本件発明の目的物質は、水稲育苗用肥鉄土であって、粒径二ないし六ミリメートルの範囲の粗砕粒と二ミリメートル以下の微粉粒とから成り、かつ、該粗砕粒が全体の約三〇ないし八〇パーセント含まれるものということができる。

4  意識的除外の主張について

被告らは、本件発明は「造粒物」を意識的に除外したものと解すべきである旨主張するが、被告ら主張の事実だけでは右のように解することはできず、他に右のように解すべき根拠を見いだすことはできないので、右の主張は採用することができない。

二  本件発明と両製法との対比

1  出発物質及び目的物質について

(一) 両製法の出発物質は、「安山岩、蛇紋岩等の鉄分を多く含む石及びその風化土」であるから、本件発明の出発物質に含まれることは明らかである。

被告らは、両製法においては、出発物質として、なるべく岩石の混入の少ない粘土質の土砂を用いている旨主張するが、右の事実があったとしても、右の判断を左右するには足りない。

(二) 両製法の目的物質は、イ号製法においては「製品全体のうち粒径二ミリメートル以上の粗砕粒が約三七・六ないし五一・九パーセント及び粒径二ミリメートル以下の微粉粒が約四八・一ないし六二・四パーセントの比率で

含まれる水稲育苗用培養土」であり、ロ号製法においては「製品全体のうち粒径二ミリメートル以上の粗砕粒が六三・五パーセント、粒径二ミリメートル以下の微粉粒が三六・五パーセントの比率で含まれる水稲育苗用培養土」であるから、いずれも本件発明の目的物質に該当する。

2  「方法を構成する工程」について

(一) 乾燥粉砕工程

イ号製法は、篩残した土石は破砕機によって破砕して五〇ミリメートル以下の土石とする工程を有し、また、後記3(一)のとおり乾燥粉砕の作用を有する造粒工程を有しており、ロ号製法は、大きな〓や岩石等は取り除きあるいは破砕して概ね九〇ミリメートル以下の土石とする工程、篩残された造粒物をインペラにかけて破砕する工程を有し、また、後記3(二)のとおり乾燥粉砕の作用を有する造粒工程を有しているから、両製法とも、後記(二)の篩通し工程の前に乾燥粉砕工程を有することは明らかである。

(二) 篩通し工程

両製法は、造粒物を三ミリメートル目の製品篩機にて篩う工程を有しており、これは、乾燥粉砕によって得られた粒状物を造粒させて得た造粒物を三ミリメートル目の篩機で網目を通る細粒と通らない粗粒とに篩い分ける工程であるから、本件発明の「篩通し工程」に該当することは明らかである。

(三) 配合工程

両製法では、三ミリメートル目の製品篩機にて篩い、篩を通過したものはそのまま製品となるのであるから、大きさの異なる二種以上の粒状物を配合する工程を有しないことは明らかである。したがって、両製法には本件発明にいう「配合工程」が存在しない。

なお、原告は、両製法における「製品の篩分け工程」及び「製品の粒度分布」が本件発明の粗砕粒と微粉粒との配合に該当する旨主張するが、「製品の篩分け」は配合とは全く逆の操作であるし、また、「製品の粒度分布」は物(目的物質)の内容であって両製法の工程の一部ではないから、右の主張は採用することができない。

3  両製法の「造粒工程」について

さらに、両製法における造粒工程について検討する。

(一) 前記第二、一の事実及び証拠(甲事件の検甲一ないし四、同検証)によれば、イ号製法の造粒工程(原告主張の「造粒工程」及び「乾燥工程」)は、砕石及び土からなる原料に水を添加して造粒機で粒状物とし、これを二回にわたり回転窯により高温で焼いて、含水量を一二ないし一四パーセントに調整された固形粒状物を得る操作であり、この工程において、粒径の大きな原料を粒径の小さな造粒物にすること、及び添加された水分を一定の量に調整するために乾燥することが認められるのであるから、右の工程が「乾燥粉砕工程」に該当することは否定することができないが、それのみならず、右工程は「造粒」することをも重要な要素とするものということができる。

(二) また、前記第二、一の事実及び証拠(検乙一ないし六、丙事件の検証)によれば、ロ号製法の造粒工程(原告主張の「第一造粒工程」「第二造粒工程」及び「乾燥冷却工程」)は、砕石及び土からなる原料に、二回にわたり、水を添加して回転させながら造粒機で高温加熱して粒状物となし、これを急冷却キルンで冷却乾燥して含水量を調整して固形粒状物を得る操作であり、この工程において、イ号製法におけると同様、粒径の大きな原料を粒径の小さな造粒物にすることが認められるのであるから、右の工程が「乾燥粉砕工程」に該当することは否定することができないが、それのみならず、右工程は「造粒」することをも重要な要素とするものということができる。

(三) 右に述べたところによれば、両製法においては、右造粒工程及び造粒物の篩通しという工程によって目的物質を得ているものということができる。

三  結論

右に検討したところによれば、両製法は、いずれも、その出発物質及び目的物質については本件発明のそれと同一であるけれども、その方法を構成する工程においては、本件発明の構成要件である「配合工程」を欠き、かつ、本件発明にはない「造粒工程」を経ることによって目的物質を得ているのであるから、本件発明の技術的範囲に属しないというべきである。

以上のとおりであるから、原告の本訴請求は、その余の点について判断するまでもなく、いずれも理由がない。

(裁判長裁判官 瀬戸正義 裁判官 杉原則彦 裁判官 後藤博)

イ号製法目録

安山岩、蛇紋岩等の鉄分を多く含む石及びその風化土からなり、酸化鉄を約一〇パーセント以上とけい酸を主成分とする土石を、五〇ミリメートル目振動篩にかけて五〇ミリメートル以下の土石の篩分けを行い、篩を通過したものはそのまま、篩残した土石は破砕機によってさらに破砕して五〇ミリメートル以下の土石として、造粒機に送り込み、該造粒機では五〇ミリメートル以下の土石に水を打ちながら回転して円い粒状物となし、次にこの粒状物を第一回転窯で約八〇〇℃で焼きながら回転して造粒物に固形化し、さらにこれを第二回転窯へ送り込み三〇〇ないし四〇〇℃で焼きながら回転して含水量を一二ないし一四パーセントに調整し、次いで前記造粒物を三ミリメートルの製品篩機にて篩い、篩を通過したものはそのまま製品となし、篩残した土石は粉砕機によって粉砕して前記造粒機に戻して循環させ、製品全体のうち粒径二ミリメートル以上の粗砕粒が約三七・六ないし五一・九パーセント及び粒径二ミリメートル以下の微粉粒が約四八・一ないし六二・四パーセントの比率で含まれる水稲育苗用培養土を製造する方法。

イ号製法の認否

概ね認めるが、次の点を主張する。

1 原料については、なるべく石を含まない粘土質の土砂を用いている。

2 第二回転窯では、乾燥が目的ではなく、含水量を一二ないし一四パーセントに調整しながら焼結するのである。

3 イ号製法における製品には粗砕粒はなく、すべて造粒物である。

4 イ号製法は、粒径が三ミリメートル以下になるように篩通しているだけであり、それを二ミリメートル以上の物とそれ以下の物とに分けて比率を云々してみても意味がない。

ロ号製法目録

1 安山岩、蛇紋岩等の鉄分を多く含む石及びその風化土からなり、酸化鉄を約一〇パーセント以上とけい酸を主成分とする土石を、

2 大きな〓や岩石等は取り除きあるいは破砕して概ね約九〇ミリメートル以下の土石として、

3 内部壁面に断続する螺旋上の羽根がつけられた造粒機Ⅰに送り込み、前記土石に水分を付与して回転させながら高温で加熱して粒状物を生成し、

4 次いで、前記粒状物を目の粗い(一〇ないし一三センチメートル)バースクリーンにて粗篩し、篩を通過したものはそのまま、篩残されたものはインペラにかけて破砕し、

5 次に、前記粗篩した粒状物を内部壁面に螺旋状に連結する羽根がつけられた造粒機Ⅱで更に回転させながら高温で加熱し、

6 その後急冷却キルンヘ送り込み送風によって冷却乾燥し、

7 次いで、前記乾燥した造粒物を三ミリメートル目の製品篩機にて篩い、篩を通過したものはそのまま製品となし、

8 篩残したものは前記インペラに戻して循環させ、

9 製品全体のうち粒径二ミリメートル以上の粗砕粒が六三・五パーセント、粒径二ミリメートル以下の微粉粒が三六・五パーセントの比率で含まれる

10 水稲育苗用培養土を製造する方法。

ロ号製法の認否

1 認める。ただし、なるべく石を含まない粘土質の土砂を用いている。

2及び3 認める。

4及び5 認める。ただし、平成三年三月以降は、4のバースクリーンで粗篩して残されたものは、インペラにかけて破砕され、篩目が三ミリメートルの篩機にかけられてその篩機を通過したものは造粒機Ⅰへ再び送られる工程及び篩残されたものはインペラへ再度搬送されて破砕される工程が4から5に至る過程に付加されている。また、造粒機Ⅱでは、回転させながら高温で加熱して造粒効果を増すとともに焼結するのであり、時には水を加えている。

6 認める。ただし、急冷却キルンは、造粒物の水分含有率を制御するためのもので、乾燥そのものを目的とするものではない。

7 認める。ただし、「前記乾燥した造粒物」というよりも「前記冷却した造粒物」というべきである。

8 認める。

9 認める。ただし、粒度が三ミリメートル以下となるよう篩通ししており、結果的に原告主張のような比率になったにすぎない。なお、ロ号製法においては「粗砕粒」ではなく「造粒物」が製造される。

10 認める。

<51>Int.Cl2. C 05 D 9/02 A 01 N 7/00 A 01 G 1/00 <52>日本分類 1B0 2B0 <19>日本国特許庁 <11>特許出願公告

昭51-12525

特許公報 <44>公告 昭和51年(1976)4月20日

庁内整理番号 6850-21

発明の数 1

<54>水稲育苗用肥鉄土の製造法

<21>特願 昭48-417

<22>出願 昭47(1972)12月29日

公開 昭49-91806

<43>昭49(1974)9月2日

<72>発明者 内山文一

愛知県愛知郡東郷町大字審木字音貝43の141

<71>出願人 伊吹物産株式会社

同所

<74>代理人 弁理士 北村欣一 外3名

<57>特許請求の範囲

1 安山岩、蛇絞岩等の鉄分の多い岩石の砕石及び風化土を乾燥粉砕して得られる酸化鉄を約10%以上とけい酸を主成分とする肥鉄土を篩通しその粒径2mm~6mmの範囲の粗砕粒と2mm以下の微粉粒とを該粗砕粒が全体の約30%~約80%含むように配合して成る水稲育苗用肥鉄土の製造法。

発明の詳細な説明

本発明は:特に稲作に於ける育苗用土として使用される肥鉄士の改良に関するものである。

従来、肥鉄土と指称される鉄分の多い蛇紋岩、輝石安山岩などの風化した土壤(1961年養賢堂発行農学大事典352頁、1969年農林統計協会発行農林省肥科機械課監修ボケツト肥料要覧参照)は含鉄資材として土壤改良に使用されている。例えば此種岩石の風化土を焙焼し粉砕機にかけ2mm以下の微粒まで粉砕して得た微粉土に製造したものを育苗用土として使用して来たが、この肥鉄土は最大で粒径2mm以上のものが10%前後含まれる全体として微粉から成るため保水性、通水性等が悪く、その乾燥状態では固結したりひび割れし苗の根をしめつけ、或は持ち上げ植付姿勢を悪くする等の現象をおこし施水状態では容易に水分過度となり、湿害、病気を起こすことがしばしばで一般に苗の生育を阻害し生育むらを起こし所望の育苗を達成し得ない得ず又機械植時の根離れが悪く根いたみを起こす等の欠点がある。而もその製造は粒径2mm以下の微粉粒を製造とする考えから粒径2mm以上の粗片は更に粉砕し、殆んど粗砕粒を含まないようにしたもので製造の手間、製造コストは高くなる いがあり、而もその製品は上記の如き欠点を伴つた。

一方培養土として微粉粒を2mm以上の粗粒に造粒したものがあるが、これは苗育期間中その造粒は微粒状に水分等により溶解或は崩壤し微粉となる傾向があり生育の途中から生育が悪くなり乾燥固結を容易におこし、施水管理が離かしく湿害等もおこり、生育の不良、不均一となり又機械植時の根離れが悪く根いたみを生ずる欠点がある。

本発明はこのような従来の水稲の苗の育生用に用いられる土壤の欠点を解消し、特に水稲苗の育生に極めて適すると共に水稲機械による植付にも根いたみの殆んどなく良好な植付をもたらし得る水稲育苗用土壤を提供するものでその要旨は安山岩、蛇紋岩等の鉄分の多い岩石の砕石及びその風化土壤を乾燥粉砕して得られる約10%~約50%の酸化鉄及びけい酸を主成分として含有する肥鉄土を篩通し、その粒径2mm~6mmの範囲の粗砕粒と2mm以下の微粉砕とを該粗粉粒が全体の30~80%含むように配合して成る水稲育苗用肥鉄土に存する。

次に本発明の実施例を詳述する。

輝石安山系の山より採取した酸化鉄及び珪酸を主成分として含む肥鉄土の成分粗成から成る大小の岩石とその土壤とを例えば7対3(重量比)の割合で焙焼炉に入れ800℃で焙焼し水分を除去乾燥し、次でこれを粉砕した後18番線の鋼線から成る6メツシユの篩を通し、これにより粒径2mm6mmの範囲の粗砕粒が45部粒径2mm以下の微粉粒が55部配合された本発明育苗用肥鉄土を得た。この肥鉄土の成分は、酸化鉄10~50%、けい酸30~40%、マンガン4~6%苦土5~9%、石灰、モリブデン等の微量要素6~8%であつた。前記岩石の他凝灰岩、瓦岩、粘板岩、けい岩、輝緑岩、砂岩等の風化土の混入は好ましい。

上記製造工程に於いて原料として岩石のみを焙焼し粉砕することもよいが、作業能 上土壤を混入することが通常である。乾燥は焙焼を通常とするが自然乾燥でもよい.従来は10メツシユの篩を通し2mm以下のものを製品とし、それ以上の砕片は更に粉砕し、2mm以上の粗粒を多くしても10%程度含む全体として微粉から成る肥鉄土が水稲育苗に適しているとの通念が存していたが、本発明によれば、より粗い粒径6mmまでの粒子を通過するより目の粗い篩を使用し得るので従来の如くかかる粗砕粒を更に粉砕する手間とコストを省けると共に生産量を増大し経済的に廉価に得られる。好ましくは粗砕粒の混合割合が40~50%の製品が一般であり、粗砕粒の粒度構成は3~4mmのものが50%も以上占めたものが通常である。粗砕粒と微粉粒との所定量の配合及び粗砕粒の粒度構成は粒径2mm以下と2mm以上~6mm以下の範囲内を数段階に 別したものを用意し適宜配合するようにしてもよい。

本法により製造した粗砕粒約30~80%を含む肥鉄土(A)は水稲育苗土として横巾30cm、縦巾60cm、深さ4cmの育苗用箱内に収容し常法により種籾を播き育苗器又はハウス内で発芽生育させた.比較のため2mm以下の微粉を75%以上100%粗砕粉25%以下からなる肥鉄土(B)及び2mm以下の微粉を造粒した肥鉄土(C)前記(A)と同一の粒度から成る非肥鉄土乾燥育苗用畑上(D)及び通常の水田土(E)を調整したものを用い同様に生育試検した.

本法による培養土に於いては苗の生育最良で且つ生育むらがなく、その上その生育床は田植機の操作上根離れよく最も優位であり、その他下表の如くあらゆる点で優れている。2mm~6mmの粒径85%以上の組成から成るものは生育不均一であつた。

次に上記試験結果を示す。

試料 項目 A B C D E

固結状態 殆んどなし 甚だしい 極端に固くなる ややあり 固結し易い

生育 良好 Aより劣 半ば頃から悪くなりむらができる 軟弱 軟弱でむらがある

湿害(水分過度の害) 起らない 起し易い Bより尚起し易い 起し易い 起し易い

通水性、保水力、保肥力 最良 Aより劣る 悪い Bより劣る 最も悪い

病気 かかりにくい Aよりかかり易い かかり易い かかり易い 最もかかり易い

日常管理 容易 むづかしい 一層むづかしい 一層むづかしい 極めてむづかしい

植付いたみ 殆んどなし(根離れがよく値付の活着がよい) Aより根離れ悪く多くいたむ Bより更に多くいたむ 殆んどないが植付の活着が悪い Dと同様

植付姿勢 最良 良 不良 不良 不良

更に上表の試料D及びEの成積より明らかなように、粒度分布が本発明試料と同じであつても肥鉄土でない培養土では水稲生育用に適さないことが理解される.

このように本発明によるときは、乾燥粉砕処理した肥鉄土を原料とし、これをその粒度2mm~6mmの範囲の粗砕粒と2mm以下の微粉粒とから構成し且つ該粗砕粒を全体の30%~80%含むように配合したものは、水稲の育苗用土壤として使用し従来の水稲育苗用肥鉄土その他の非肥鉄土に比し、上記の如く苗の育生に著しく優れた効果をもたらすと共に機械植による根いたみを生ぜず活着が良い等の優れた効果をもたらす.

<56>引用文献

土壤 船引真吾著 昭38.6.5 第48~54頁 朝倉書店発行

特許公報

<省略>

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